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【台風の前に決めておく】高齢者のマイタイムラインの作り方と手順

台風が近づいたときに高齢の家族と暮らす家庭がいつ誰が何をするかを時系列で決めておくマイタイムラインの作り方を解説する記事のアイキャッチ画像 避難の手順とタイミング

台風が近づくというニュースを見るたびに、「義母を連れて、いつ、どこへ動けばいいのだろう」と落ち着かない気持ちになる方は多いのではないでしょうか。地震と違って、台風は数日前から来ることが分かる災害です。つまり、慌てずに済むだけの時間が、前もって用意されているということでもあります。その時間を生かすために、「いつ、誰が、何をするか」を先に紙に書いておくのがマイタイムラインです。この記事では、足の弱い家族と暮らす家庭に向けて、マイタイムラインの作り方と、台風接近時にやることの順番をまとめました。

台風が近づくたびに迷うこと
  • いつ動き出せばいいのか
  • 家にいるか避難するか
  • 夫が不在の日だったら
  • 前日に何を準備するか
  • 毎回、一から考えて疲れる
義母の避難に悩む読者のイラストアイコン
読者

台風のニュースを見ると、毎回ドキドキします。義母を連れて動くなら早めがいいとは思うんですが、どのタイミングで何をすればいいのか、いつもその場で考えてしまって。

災害医療の修士号をもつ防災士である管理人のイラストアイコン
管理人

毎回その場で考えるのは、本当に疲れますよね。台風は「来る日」が先に分かる災害です。だからこそ、やることの順番を一度だけ紙に書いておけば、次からはそれを見ながら動くだけで済むようになりますよ。

今日ひとつだけやるなら、カレンダーの裏紙に「3日前・前日・当日」と3行だけ書いてみてください。それが、あなたの家のマイタイムラインの下書きになります。

高齢者のマイタイムラインとは

マイタイムラインは、台風や大雨が近づいたときに、自分や家族がとる行動を時間の流れにそって書き出した「わが家の防災行動の予定表」です。国や自治体も作成を呼びかけていて、記入用のシートを配っている市区町村もあります。避難に時間がかかる高齢の家族がいる家庭ほど、前もって決めておく効果が大きくなります。どんなものなのか、3つの点から見ていきましょう。

台風前の動きを時系列で決める

マイタイムラインの中身は、「3日前にはこれ」「前日にはこれ」「警戒レベル3が出たらこれ」という、時間と行動の組み合わせです。難しい言葉で書く必要はなく、家族が読んで分かれば十分です。予定表と同じように、いつ何をするかが一目で分かる形にしておきます。台風が来るたびに見返せるので、2回目からは考える時間がほとんどいらなくなるでしょう。

足の弱い家族ほど役に立つ

杖歩行の方や介助が必要な方は、避難の準備にも移動にも時間がかかります。靴を履く、薬をそろえる、上着を着せるだけで10分以上かかることも珍しくありません。動き出しが遅れるほど、雨と風の中で移動することになり、介助する家族の負担も大きくなります。マイタイムラインは、その「動き出しの遅れ」を防ぐための道具だと考えてください。

個別避難計画との違い

似た言葉に「個別避難計画」があります。こちらは、自治体が中心になって、支援が必要な方の避難を手伝う人や避難先を決める計画です。一方のマイタイムラインは、家族が自分たちで作る「家の中の段取り表」にあたります。どちらか一方ではなく、両方あると安心です。個別避難計画については個別避難計画の作り方と相談先の全手順で詳しく紹介しています。

マイタイムラインに書くこと
  • いつ(何日前・どの情報で)
  • 誰が(家族の名前)
  • 何をするか(具体的な行動)
  • どこで過ごすか(家か避難先か)
  • 困ったときの連絡先

マイタイムラインの作り方

マイタイムラインは、紙1枚とペンがあれば作れます。最初から完璧なものを目指す必要はありません。大切なのは、書く順番です。まず「家にいるか、避難するか」を決め、そのあとで「いつ動くか」と「誰が動くか」を書き込みます。この順番を逆にすると、何度も書き直すことになるからです。4つの手順に分けて説明します。

ハザードマップで家の危険を確かめる

最初に、自宅が浸水や土砂災害の危険がある場所に入っていないかを確かめます。市区町村が配っているハザードマップか、国土交通省の「重ねるハザードマップ」で調べられます。浸水の深さの目安も見ておくと、2階で過ごせるかどうかの判断にも使えるでしょう。見方はハザードマップの見方 自宅の危険度を確認する手順にまとめました。

家にいるか避難するかを先に決める

危険な場所に入っていなければ、家で過ごす在宅避難を軸に計画を立てられます。反対に、浸水や土砂の危険がある場所なら、早めに家を出る計画が必要です。この判断を台風が来てからではなく、晴れている日に家族で決めておくことが、マイタイムラインのいちばん大事な部分です。親戚の家やホテルなど、避難所以外の行き先も候補に入れておきましょう。

ハザードマップで危険区域の外かを確かめ停電や断水でも家で数日過ごせるかを考えどちらも大丈夫なら在宅避難を軸にどちらかが難しければ早めに避難する計画を立てることを示す図解
ハザードマップで危険区域の外かを確かめ停電や断水でも家で数日過ごせるかを考えどちらも大丈夫なら在宅避難を軸にどちらかが難しければ早めに避難する計画を立てることを示す図解

動き出す合図を決める

次に、「どの情報が出たら動くか」を決めます。足の弱い家族がいる家庭では、警戒レベル3(高齢者等避難)を家を出る合図にするのが基本です。ただ、台風は夜中にレベル3が出ることもあるため、「暗くなる前に出られるよう、前日の夕方の予報で決める」といった家族の決まりを足しておくと安心です。レベル3の意味は警戒レベル3=高齢者等避難の意味と動き方で解説しています。

誰が何をするかを書き込む

最後に、一つひとつの行動に担当者の名前を書きます。「薬の確認は私」「庭の片付けは夫」「義母の付き添いは息子」というように、名前が入るだけで人は動きやすくなるものです。平日の日中など、家に自分と義母しかいない時間帯の動き方も別に書いておきましょう。そのときに電話で頼れる人の名前と番号も、同じ紙に書き添えておきます。

作るときに決めておくこと
  • 家にいるか、避難するか
  • 避難するなら行き先
  • 家を出る合図の情報
  • 一人のときの動き方
  • 頼れる人の電話番号

台風接近までの時系列

ここからは、台風が近づく数日間に何をするかを、時間の順に並べていきます。下の例をもとに、わが家に合わせて書き直してみてください。実際の行動は、気象情報と自治体の発表を最優先にしてください。ここで紹介する日数は、あくまで目安です。台風の速さや進路によって、準備に使える時間は短くなることがあります。

台風接近の3日前に薬と予定を確認し前日に充電と水くみをして半日前に警戒レベル3が出たら立ち退く家は移動し通過中は外に出ず通過後に家の周りを確認するという高齢者のいる家庭のマイタイムラインの例を示す図解
台風接近の3日前に薬と予定を確認し前日に充電と水くみをして半日前に警戒レベル3が出たら立ち退く家は移動し通過中は外に出ず通過後に家の周りを確認するという高齢者のいる家庭のマイタイムラインの例を示す図解

3日前は薬と予定を確かめる

台風の進路予報が出始めたら、まず常備薬の残りを数えます。病院や薬局が休みになったり、道路が通れなくなったりすることがあるため、残りが少なければ受診を前倒しできないか相談しましょう。デイサービスやショートステイの予定がある日は、事業所が休みになることもあります。早めに連絡を取り合っておくと安心です。薬の備え方は高齢の親の防災の備えと常備薬の持ち出し方でも紹介しています。

前日は停電と断水に備える

前日には、飛ばされそうな植木鉢や物干しざおを片付け、雨戸やカーテンを閉めます。台風は停電を起こしやすいため、スマホやモバイルバッテリー、懐中電灯の電池を確かめておきましょう。電動ベッドや吸引器など、電気を使う介護用品や医療機器がある家庭は、止まったときの使い方を前日のうちに確認しておきます。浴槽に水をためておくと、断水してもトイレを流す水に使えます。

半日前はレベル3で動き出す

家を出ると決めている家庭は、警戒レベル3が出たら移動を始めます。雨や風が強くなってからでは、杖をついて歩くのも、車いすを押すのも難しくなるからです。家にとどまる家庭は、窓から離れた部屋に寝る場所を移し、トイレや食事の準備を手の届く場所にまとめます。どちらの場合も、家族のグループLINEやご近所に「今からこうします」と一言伝えておきましょう。

通過後もすぐ外に出ない

台風が通り過ぎたあとも、風が急に強まる「吹き返し」が起きることがあります。川や用水路の様子を見に行くのは危ないため、控えてください。安全が確認できてから、家の周りの被害や、停電と断水の有無を確かめます。家の外の片付けで無理をすると、介助する家族がけがをすることもあるので、気をつけたいところです。

台風のときに避けたいこと
  • 暗くなってからの移動
  • 大雨の中の車での避難
  • 川や田畑の様子を見に行く
  • 通過直後の屋根の点検
  • 薬の残りを確かめないこと

家族で共有して続けるコツ

マイタイムラインは、作っただけでは役に立ちません。いざというときに家族全員が同じ紙を見て動けることが大切です。とはいえ、家族会議を開くのは気が重いという方も多いでしょう。家族を説得するより、見える場所に貼って、少しずつ巻き込むほうがうまくいきます。続けるための工夫を3つ紹介します。

冷蔵庫に貼れる1枚にする

マイタイムラインは、A4の紙1枚に収まる量にとどめます。書き込みが多すぎると、いざというときに読まれません。冷蔵庫や電話の近くなど、家族が毎日目にする場所に貼っておくと、自然に目に入るようになるでしょう。スマホで写真を撮って家族のグループLINEに送っておけば、外出先からでも確認できます。

家族に役割を1つずつ渡す

防災に関心の薄い家族にも、役割を1つだけ頼むと動いてもらいやすくなります。「全部手伝って」ではなく、「台風の前日に庭の片付けだけお願い」と、時間と中身をしぼって頼むのがコツです。義母本人にも、「薬の袋を玄関に置く」のような、できることを1つ担ってもらいましょう。頼み方の工夫は防災に協力しない家族の巻き込み方と頼み方も参考にしてください。

台風の季節の前に見直す

家族の体の状態や暮らし方は、1年でも変わります。歩くのがゆっくりになった、デイサービスの曜日が変わった、子どもが進学して家を出た、といった変化に合わせて書き直しましょう。毎年、梅雨や台風の季節が始まる前に1回見直す、と決めておくと忘れにくくなります。台風が来て実際に使ったあとに、うまくいかなかった点を書き足すのも効果的です。

見直すきっかけ
  • 梅雨や台風の季節の前
  • 歩き方や体調の変化
  • 介護サービスの曜日の変更
  • 家族の転勤や進学
  • 台風を一度経験したあと

よくある質問

マイタイムラインを作るときによく寄せられる疑問をまとめました。避難のしかたや相談先は地域によって違うため、迷ったときはお住まいの市区町村の防災担当課に確認してください。ここでは、作り始める前に知っておくと役立つ考え方を中心に紹介します。気になる項目だけ読んでいただいて構いません。

決まった書式はありますか

決まった書式はありません。自治体によっては、記入用のシートを配布したり、ホームページからダウンロードできるようにしたりしています。お住まいの市区町村のホームページで「マイタイムライン」と検索してみてください。見つからなければ、白い紙に表を書くだけでも十分です。

大雨や地震にも使えますか

大雨や川の増水は、台風と同じように前もって予報が出るため、同じマイタイムラインを使えます。一方で、地震は前触れなく起きるため、時間の順に準備するという考え方は当てはまりません。地震の備えは、家具の固定や夜間の動き方など、別に考えておきましょう。

義母が「まだ大丈夫」と動きません

その場で説得するのは、とても難しいものです。晴れている日のうちに、マイタイムラインを一緒に見ながら「この情報が出たら動こうね」と約束しておくと、当日の抵抗が小さくなることがあります。家を出たがらない親への接し方は高齢者の避難拒否 説得より段取りで動かすで詳しく紹介しました。

一人で作っても大丈夫ですか

最初は一人で下書きを作って構いません。できあがったものを家族に見せて、「ここだけ手伝ってほしい」と頼むほうが、白紙から相談するより話が進みやすいでしょう。介護サービスを使っている場合は、担当のケアマネジャーにも見てもらうと、見落としに気づけることがあります。

どこに相談すればいいですか

市区町村の防災担当課や、地域包括支援センターが相談先になります。介護サービスを使っている方は、担当のケアマネジャーに声をかけるのが近道です。自治体によっては、マイタイムラインの作り方の講座を開いていることもあるので、広報誌も確かめてみてください。

まとめ

台風は、来ることが前もって分かる災害です。マイタイムラインで「いつ、誰が、何をするか」を決めておけば、足の弱い家族がいる家庭でも、慌てずに早めに動けるようになります。完璧な計画でなくて構いません。家にいるか避難するかと、動き出す合図の2つが決まっていれば、それだけで当日の迷いは大きく減ります。

この記事の振り返り
  • 行動を時間の順に書き出す
  • まず在宅か避難かを決める
  • 家を出る合図はレベル3
  • 3日前は薬と予定の確認
  • 前日は停電と断水の備え
  • 冷蔵庫に貼り毎年見直す

今日は、カレンダーの裏紙に「3日前・前日・当日」と書いて、それぞれに1つずつ、わが家でやることを書き込んでみてください。台風では停電が長引くこともあります。電気を使う介護用品や医療機器がある家庭は、前日の準備に「電気をどう確保するか」も書き加えておくと安心です。

\ 停電が長引いても、家で過ごすために /

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※電気を使う医療機器や暖房があるご家庭ほど、備えの優先度が上がります

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