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【動かないと弱る】災害時の高齢者の体力低下 在宅避難でできる予防

災害時に高齢の家族の体力が落ちるのを在宅避難中に防ぐ工夫を解説する記事のアイキャッチ画像 在宅避難の備え

災害で家にこもる日が続くと、義母が横になっている時間が増え、立ち上がるのもゆっくりになっていく。そんな様子に、不安を覚えていませんか。体力が落ちるのは本人の気力の問題ではなく、「動く用事」が暮らしから消えてしまうことが大きな原因です。だからこそ、家族の少しの工夫で防げる部分があります。この記事では、在宅避難中に高齢の家族の体力を落とさないための、家の中でできる工夫をまとめます。

こんな心配はありませんか
  • 災害後、義母が寝てばかりになる
  • 立ち上がりが遅くなった気がする
  • 動いてと言っても嫌がられる
  • 体操をさせて転ばないか不安
  • 何日で元に戻るのか分からない
義母の避難に悩む読者のイラストアイコン
読者

停電で何もできないし、義母には「危ないから座っていて」と言ってしまいそうです。でも、それで弱ってしまったらと思うと心配で。

災害医療の修士号をもつ防災士である管理人のイラストアイコン
管理人

気づかいから出る言葉なので、自分を責めなくて大丈夫です。特別な運動より、座る・着替える・小さな用事を頼む。この3つを続けるだけでも、体の衰えを防ぐ手助けになります。

今日ひとつだけやるなら、義母が毎日している家の用事を1つ、紙に書き出してみてください。災害のときも「それはお母さんの係」と頼めるものが見つかれば、それが一番の備えになります。

災害時に高齢者の体力が落ちる理由

災害のあとは、ふだんの暮らしの流れが止まります。買い物、デイサービス、庭の手入れ、近所への立ち話など、高齢の方が一日の中で自然に体を動かしていた場面が、一度になくなってしまうのです。体力が落ちる原因は「運動不足」よりも「用事がなくなること」にあります。まずは、どんな流れで動かなくなるのかを知っておきましょう。

体を動かす用事がなくなる

停電や断水が起きると、料理や洗濯、テレビを見に居間へ移動するといった日課が止まります。行く場所もやることもなければ、座ったまま、横になったままの時間が長くなるのは自然な流れです。

家族に気をつかって横になる

「手伝うと邪魔になる」「転んだら迷惑をかける」と考え、あえて動かないようにする高齢の方は少なくありません。家族も心配から「座っていて」と声をかけるため、本人が動く理由がさらに減っていきます。

トイレを減らそうと水を控える

断水でトイレが使いにくいと、トイレの回数を減らそうとして水分を控えがちです。水分が足りないと体がだるくなり、ますます動きたくなくなります。長く座り続けることで、足の血のめぐりが悪くなる心配も出てきます。

トイレの備えは在宅避難のトイレ 高齢者に必要な携帯トイレの数で詳しく説明しています。

災害で高齢者が動かないと起きること

体を動かさない状態が続いて、心や体の働きが落ちていくことを「生活不活発病(せいかつふかっぱつびょう)」と呼びます。過去の大きな地震のあとにも、歩くことが難しくなった高齢の方が多くいたことが報告され、国や自治体も注意を呼びかけてきました。早めに気づけば、日々の過ごし方を変えるだけで防げる可能性があります。どんな変化が出てくるのかを見ていきましょう。

気づいておきたい変化のサイン
  • 横になっている時間が増えた
  • 立ち上がりに時間がかかる
  • 歩く距離が短くなった
  • 口数が減り、ぼんやりしている
  • 食欲が落ちてきた

生活不活発病という状態

病名のように聞こえますが、特別な病気ではありません。動かない時間が長くなることで、足の筋力や体力、気力が少しずつ落ちていく状態を指します。とくに、もともと杖を使っているなど、足腰が弱い方ほど影響を受けやすいとされています。

数日のうちに出てくる変化

変化は、災害から数日という短い期間でも出てくることがあります。「今日は立ち上がるのに手すりを2回つかんだ」「トイレまでの途中で休んだ」など、ふだんとの小さな違いに気づけるのは、そばにいる家族だけです。

一度落ちると戻りにくい

若い人なら数日休んでもすぐ元に戻りますが、高齢の方は落ちた体力を取り戻すのに時間がかかります。災害が落ち着いたあとも、歩きにくさが残ってしまうことがあるため、落ちる前に防ぐという考え方が大切になるのです。

在宅避難で体力を落とさない工夫

体力を保つために、特別な運動を用意する必要はありません。大切なのは「横になる時間を、座る時間に置きかえること」です。在宅避難は住み慣れた家で過ごせるぶん、避難所よりも役割や日課を続けやすいという強みがあります。その強みを生かす工夫を紹介します。

毎日続けたい4つのこと
  • 家の中の役割を1つ頼む
  • 昼間は起きて座って過ごす
  • 朝の着替えと身支度
  • 水分をこまめにとる

家の中の役割を1つ頼む

洗濯物をたたむ、備蓄の数を数える、ラジオを聞いてニュースを教えてもらうなど、座ったままできる用事を1つ頼みましょう。「お母さんがいて助かる」と感じてもらえることが、自分から動く一番の理由になります。

昼間は起きて座って過ごす

日中はできるだけ布団から出て、椅子や座椅子に座って過ごすようにします。座っているだけでも、横になっているより体を支える力を使います。昼寝をする場合も、時間を決めて短めにすると、夜の眠りも保ちやすくなるでしょう。

朝の着替えと身支度を続ける

パジャマのまま一日を過ごすと、気持ちも体も「休む日」のままになりがちです。朝は服に着替え、顔を拭いて髪をとかす。いつもの身支度を続けることが、一日を始める合図になります。

水分とトイレを我慢させない

水分はこまめに、少しずつとってもらいましょう。トイレに歩いて行くこと自体が、立ち上がって歩く大切な機会です。「トイレに行きたくなったら遠慮なく言ってね」と伝えておくと、本人も水分を控えずに済みます。

横になって過ごす状態から座る時間を増やしそして立つ歩くへと少しずつ動きを増やしていく考え方を示す図解
横になって過ごす状態から座る時間を増やしそして立つ歩くへと少しずつ動きを増やしていく考え方を示す図解

断水時の水の量の考え方は断水しても慌てない 高齢者がいる家庭の水の備えを参考にしてください。

座ったままできる体の動かし方

日課に加えて、椅子に座ったままできる簡単な動きを取り入れると、足の筋力や血のめぐりを保つ助けになります。痛みや息苦しさが出たら、その場ですぐに中止してください。持病がある方は、かかりつけ医やケアマネジャーに相談してから始め、無理のない範囲で、できる方だけが行いましょう。

こんなときは動かすのを中止
  • 痛みや息苦しさが出たとき
  • ふらつきやめまいがあるとき
  • いつもより顔色が悪いとき
  • 熱があるとき
  • 本人が嫌がっているとき

足首の曲げ伸ばし

椅子に深く座り、かかとを床につけたまま、つま先をゆっくり上げ下げします。ふくらはぎが動くことで、足の血のめぐりを助けると考えられています。長く座ったあとや、朝起きたときに行うと取り入れやすいでしょう。

かかとの上げ下げ

座ったまま、つま先を床につけてかかとをゆっくり持ち上げ、ゆっくり下ろします。立って行うと転ぶおそれがあるため、必ず座った姿勢で行ってください。回数は決めず、疲れない程度で十分です。

片方ずつの膝の曲げ伸ばし

座ったまま片方の膝をゆっくり伸ばし、つま先を天井に向けてから、ゆっくり戻します。左右交互に行いましょう。太ももの前の筋肉は、立ち上がりや歩くときに使う大切な筋肉です。

体を動かす前に体調がいつもどおりか痛みや息苦しさがないかを確かめ当てはまらなければ今日は座って過ごすだけにする判断の流れを示す図解
体を動かす前に体調がいつもどおりか痛みや息苦しさがないかを確かめ当てはまらなければ今日は座って過ごすだけにする判断の流れを示す図解

家の中で避難の動きを練習する方法は高齢者と家庭でできる防災訓練でまとめています。

よくある質問

災害時の高齢者の体力低下について、よくある疑問をまとめました。体のことで迷ったときは、ひとりで判断せず相談してください。相談先は、かかりつけ医やケアマネジャー、地域包括支援センターです。気になる項目だけ読んでいただいて構いません。

義母が「動きたくない」と言います

「運動しよう」と誘うより、「この洗濯物、一緒にたたんでくれる?」のように用事として頼むほうが受け入れられやすくなります。本人が疲れている日や嫌がる日は、無理に動かさなくて構いません。

転ぶのが心配で動かしたくありません

その心配はもっともです。だからこそ、立って歩き回る運動ではなく、座ったままできる動きや、座ってできる家事から始めましょう。トイレへの移動など、ふだんどおりの動きは、そばで見守りながら続けてもらうのがおすすめです。

停電で暗く寒い日はどうすればいいですか

暗さや寒さは、横になる時間が増える大きな原因です。明るい時間帯に起きて座る時間を集め、寒い日は重ね着をして椅子に座るなど、できる範囲で工夫しましょう。停電の備えは高齢者と暮らす家の照明・暖房・医療機器の備えも参考になります。

デイサービスが休みの間が心配です

デイサービスで行っていた体操やレクリエーションを、家で全部代わりにする必要はありません。担当のケアマネジャーに、家で続けられることがないか聞いてみると、体の状態に合った助言がもらえることがあります。

もう弱ってしまった気がします

気づいた今からでも遅くはありません。座る時間を少し増やすところから始めましょう。歩き方が明らかに変わった、急に立てなくなったなどの変化があれば、早めにかかりつけ医やケアマネジャーに相談してください。

まとめ

災害時に高齢の家族の体力が落ちるのは、暮らしの中から「動く用事」が消えてしまうからです。役割を頼み、昼は座って過ごし、身支度を続けることが、在宅避難中の体を守る土台になります。完璧を目指す必要はありません。今日できることを1つだけ始めてみましょう。

この記事の振り返り
  • 原因は用事がなくなること
  • 数日のうちに変化が出ることも
  • 横になる時間を座る時間へ
  • 家の中の役割を1つ頼む
  • 水分とトイレを我慢させない
  • 痛みや息苦しさが出たら中止

今日は、義母がふだんしている家の用事を1つ書き出して、「災害のときもお願いね」と話してみてください。費用はかかりません。その一言が、いざというときに義母が自分から動くきっかけになります。

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