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【手放すわけじゃない】災害時のペットの預け先 高齢者がいる家の決め方

高齢の家族とペットがいる家で災害時に親を優先するあいだペットを一時的に預けられるよう預け先を平時に決めておく方法を解説する記事のアイキャッチ画像 家族と地域の巻き込み方

足の弱い義母と、長く一緒に暮らしてきた犬や猫。災害のときは家で過ごすつもりでも、家が危なくなったり、義母が入院したりして、ペットを連れて行けない場面は起こりえます。そんなとき、ペットを誰かに預けることに後ろめたさを感じる方もいるでしょう。高齢の家族を優先して一時的にペットを預けるのは、手放すことではなく、どちらの命も守るための選択です。ただ、預け先は災害が起きてから探しても、なかなか見つかりません。この記事では、ペットの一時的な預け先を平時のうちに決めておく手順をまとめました。

こんな心配はありませんか
  • 親とペットを同時に守れない
  • 預けるのは申し訳ない
  • 頼める相手が思いつかない
  • 預けたあとの世話が不安
  • 親がペットと離れたがらない
義母の避難に悩む読者のイラストアイコン
読者

義母の避難を考えると、犬まではとても手が回りません。でも、誰かに預けるなんて、見捨てるみたいで考えたくなくて。

災害医療の修士号をもつ防災士である管理人のイラストアイコン
管理人

そう感じるのは、それだけ大切にしてきた証拠です。預けるのは見捨てることではありません。義母さんを守るあいだ、ペットを安心できる場所にいさせてあげる、という準備なんです。

今日ひとつだけやるなら、「もしものとき、うちの子を数日預かってもらえる人」を1人だけ思い浮かべて、紙に名前を書いてみてください。それだけで、預け先探しの最初の一歩になります。

災害時のペットの預け先の考え方

高齢の家族とペットがいる家では、在宅避難を軸に考えるのが基本です。それでも、家が使えなくなったときや、家族のけが・入院が重なったときには、人とペットが別々の場所で過ごす期間が出てきます。預け先は「探す」ものではなく、平時に「頼んでおく」ものだと考えておくと、いざというときに慌てずに済みます。預けるときは、フードや薬、ペットの情報をひとまとめにしたバッグがあると、そのまま手渡せて相手の負担も軽くなるでしょう。考え方の土台を3つ紹介します。

\ ペットがいるご家庭の備えに /

写真を入れられるペット用防災バッグを見る

※ペットの写真をプリントでき、はぐれたときの目印にもなります

預けるのは手放すことではない

一時的に預けるのは、状況が落ち着いたら迎えに行くことが前提です。足の弱い家族の避難や介助に手を取られているあいだ、ペットを家に残したままにすると、余震や停電のなかで世話が行き届かなくなるおそれがあります。安心できる人のもとで数日過ごしてもらうほうが、ペットにとっても負担が少ない場合があります。家族が無事でいることが、結果としてペットを守ることにもつながります。

預ける必要が出る3つの場面

ペットを預けることになる場面は、大きく分けて3つあります。ひとつは、家が壊れたり浸水したりして住めなくなったとき。ふたつめは、高齢の家族が体調を崩して入院や福祉避難所への移動が必要になったとき。みっつめは、世話をしている自分がけがをしたときです。どの場面でも、ペットの世話を誰かにお願いする必要が出てきます。

預け先が必要になる場面
  • 家が壊れて住めないとき
  • 親の入院や福祉避難所への移動
  • 世話をする自分のけが

候補は近い順に3つ持つ

災害のときは、頼もうと思っていた相手も被災しているかもしれません。預け先の候補は1つに絞らず、近くの人、少し離れた地域の人、お金を払って頼めるところ、のように3つほど持っておきましょう。距離の違う候補を組み合わせておくと、同じ災害で全部が使えなくなる事態を避けやすくなります。

ペットの預け先の候補

ペットの預け先には、身近な人から専門の施設まで、いくつかの選択肢があります。それぞれに頼みやすさや費用の違いがあるため、一つに頼らず組み合わせておくのが現実的です。まずは「顔見知りで、ペットに慣れている人」から順に考えていくと、預ける側も預かる側も安心しやすくなります。主な候補を4つ紹介します。

親族や友人の家

いちばん頼みやすいのは、ペットに会ったことがある親族や友人です。ペットが相手の顔やにおいを知っていると、慣れない場所でも落ち着きやすくなります。同じ町内だと一緒に被災することもあるため、車で1時間ほど離れた地域にも1人いると心強いでしょう。ペットアレルギーや同居家族の事情もあるので、引き受けられるかどうかは早めに確かめておきます。

かかりつけの動物病院

かかりつけの動物病院の中には、入院設備を使って一時的に預かってくれるところがあります。持病や療法食があるペットなら、体のことを分かっている病院に預けられると安心です。ただし、災害時は病院自体が被災したり、けがをした動物の対応で手いっぱいになったりすることもあります。災害時の預かりができるかどうかを、次の診察のときに聞いておきましょう。

ペットホテルやペットシッター

お金を払って頼めるペットホテルやペットシッターも、候補の一つになります。ふだんの旅行や通院で一度でも使っておくと、ペットも場所や人に慣れ、いざというときに受け入れてもらいやすくなります。災害時に営業できるか、何日まで預かれるかはお店によって違うため、事前に確かめておくと安心です。

自治体や獣医師会の一時預かり

大きな災害のあとには、自治体や地域の獣医師会が、被災したペットを一時的に預かる場所を設けることがあります。ただし、設けられるかどうか、いつから使えるか、どんな動物が対象かは、災害の規模や地域によって大きく変わります。最初からあてにはせず、お住まいの市区町村の防災担当課や動物愛護の担当窓口に、平時の考え方を確認しておいてください。

預け先 よいところ 気をつけること
親族・友人 頼みやすい 一緒に被災しうる
動物病院 持病に強い 災害時は手いっぱい
ホテル・シッター 専門の世話 費用と営業の確認
自治体など 大災害で開設 開設は地域しだい
ペットの預け先は顔見知りの親族や友人から考え、次にかかりつけの動物病院、ペットホテルなど、最後に自治体などの一時預かりの順に候補を持つことを示す図解
ペットの預け先は親族や友人を最初に考え次にかかりつけの動物病院やペットホテル最後に自治体などの一時預かりの順に候補を持っておくことを示す図解

預け先を平時に決める手順

候補が思い浮かんだら、次は実際にお願いして、預けられる状態を整えていきます。災害のときは電話がつながりにくく、細かい説明をする余裕もありません。頼む・まとめる・書く・慣らすの4つを平時に済ませておけば、当日は「お願いします」と渡すだけになります。順番に見ていきましょう。

候補の人に先に頼んでおく

「もしものとき、数日だけ預かってもらえないか」と、平時のうちに直接お願いしておきます。断られても、それは当然のことなので気にしなくて大丈夫です。引き受けてもらえたら、連絡方法と、電話がつながらないときの代わりの手段も決めておきましょう。お願いした相手の名前と連絡先は、紙に書いて家族にも共有しておきます。

預けるときの持ち物をまとめる

預ける先で困らないよう、フード、薬、トイレ用品、食器、慣れたタオルなどを1つのバッグにまとめておきます。フードと薬は少なくとも数日分を入れておくと、預かる人が買いに走らずに済みます。人とペットの備蓄の組み立て方は高齢者とペットの在宅避難 備蓄の組み立て方で詳しく紹介しています。

ペットの情報カードを作る

名前、年齢、食べている物の量、薬、かかりつけの動物病院、苦手なことなどを、1枚のカードに書いておきます。預かる人はふだんの様子を知らないため、「雷が鳴ると隠れる」「人の手からしか食べない」といった小さなくせも役に立ちます。ペットの写真も一緒に入れておくと、はぐれたときの目印になるでしょう。

ケージと人に慣らしておく

慣れないケージや知らない人のもとでは、ペットが強いストレスを感じることがあります。ふだんからケージやキャリーの中で過ごす時間を作ったり、預け先の人に会わせたりして、少しずつ慣らしておきましょう。ケージに慣らす方法はペット同行避難の誤解 高齢者と暮らす家の選択でも触れています。

平時に済ませておくこと
  • 候補の人に直接お願い
  • 連絡方法を2つ決める
  • 持ち物を1つのバッグに
  • 情報カードと写真
  • ケージで過ごす練習
家で過ごせないときは親の行き先を先に決め、預け先の1番目に連絡し、断られたら次の候補に頼み、引き受けてもらえたらバッグと情報カードを渡して預けるという流れを示す図解
家で過ごせないときは親の行き先を先に決め預け先の1番目に連絡し断られたら次の候補に頼み引き受けてもらえたらバッグと情報カードを渡して預けるという流れを示す図解

預けるときの注意点

預け先が決まっていても、いざ預ける場面では、家族の気持ちや預かる人の負担に気を配る必要があります。とくに高齢の家族にとって、ペットは毎日の張り合いや心の支えになっていることが少なくありません。預けるときは「いつ、どうやって迎えに行くか」まで伝えておくと、家族も預かる人も安心しやすくなります。注意したい点を3つ紹介します。

親の気持ちを先に受け止める

高齢の親がペットと離れることを嫌がり、避難そのものを拒むことがあります。「預けるなら行かない」と言われたら、まず「離れたくない気持ちは分かる」と受け止めてから、「元気に迎えに行くために、今は少しだけ預けよう」と伝えてみてください。平時のうちに預け先の人を親にも紹介しておくと、当日の不安を減らしやすくなります。避難を嫌がる親への声のかけ方は高齢者の避難拒否 説得より段取りで動かすが参考になるでしょう。

迎えに行く目安を伝える

預かる人は「いつまで預かればいいのか」が分からないと、不安になりやすいものです。はっきりした日にちが決められなくても、「水道が戻ったら」「親が退院したら」のように、迎えに行く目安を伝えておきます。こまめに連絡を入れて様子を聞くことも、預かる人の気持ちを支えることにつながります。

預かる人の負担を減らす

災害のあとは、預かる側も生活が落ち着いていないかもしれません。フードやトイレ用品は多めに渡し、費用がかかる場合の負担の仕方も、平時のうちに話し合っておきましょう。親族や友人に頼む場合でも、あとで感謝の気持ちを形にすると、次も頼み合える関係を保ちやすくなります。

預けるときに伝えること
  • 迎えに行く目安
  • こちらの連絡先
  • 費用の負担の仕方
  • 体調が変わったときの病院

よくある質問

高齢の家族とペットがいる家の預け先について、よく寄せられる疑問をまとめました。預け先は一度で全部決めなくても大丈夫です。1人に声をかけるところから始めてみてください。ペットの体調や持病に関わることは、かかりつけの動物病院に相談しましょう。自治体の取り組みは地域によって違うため、お住まいの市区町村で確認してください。気になる項目だけ読んでいただいて構いません。

預け先が見つからないときはどうしますか

親族や友人に頼めない場合は、かかりつけの動物病院やペットホテルに、災害時の対応を聞くところから始めてみてください。近所でペットを飼っている人と「お互いさま」で預かり合う約束をしておくのも一つの方法です。どうしても見つからないときは、在宅避難を続けられるよう、家の安全とペットの備蓄を厚くしておくことが助けになります。

ペットホテルは災害時も使えますか

お店が被災していなければ使える場合もありますが、停電や断水で営業できないことや、問い合わせが集中して満室になることがあります。災害時の受け入れについて、ふだんの利用のときに聞いておくと安心です。離れた地域のお店を候補にしておくと、同じ災害の影響を受けにくくなります。

預けるのにどれくらい費用がかかりますか

費用はお店や地域、ペットの大きさ、預ける日数によって大きく変わります。ペットホテルやシッターは、ふだんの料金表を確かめておくと目安になるでしょう。親族や友人に頼む場合も、フード代や消耗品の負担について、平時に話しておくと気まずくなりにくいはずです。

親がペットと離れたくないと言います

無理に引き離そうとせず、まずは気持ちを受け止めてください。在宅避難を続けられる状況なら、ペットと一緒に家で過ごす選択もあります。預けることになった場合は、写真を渡したり、預け先から様子を聞いて伝えたりすると、親の不安が和らぐことがあります。ケアマネジャーに相談して、親の気持ちを支える方法を一緒に考えてもらうのもよいでしょう。

猫は預けると体調を崩しませんか

猫は環境の変化に敏感で、食欲が落ちたり、トイレを我慢したりすることがあります。いつものフードと、においのついた毛布やトイレの砂を一緒に持たせると、落ち着きやすくなるかもしれません。体調の変化が続くときは、預け先から動物病院に相談してもらえるよう、かかりつけの連絡先を伝えておきましょう。

まとめ

高齢の家族とペットの両方がいる家では、家族の避難や入院を優先して、ペットを一時的に預ける場面が起こりえます。預けることは手放すことではなく、どちらも守るための準備です。候補を近い順に3つ持ち、平時に頼み、持ち物と情報を1つにまとめておけば、当日は落ち着いて預けられるようになります。

この記事の振り返り
  • 預けるのは手放すことではない
  • 候補は近い順に3つ
  • 平時に直接お願いする
  • 持ち物は1つのバッグに
  • 情報カードと写真を入れる
  • 迎えに行く目安を伝える

今日は、預かってもらえそうな人を1人だけ紙に書き出すことから始めてみてください。あわせて、預けるときにそのまま手渡せるバッグを用意しておくと、預かる人にもペットにもやさしい備えになります。ペットの写真を入れられるバッグなら、はぐれてしまったときの目印にもなるでしょう。

\ ペットがいるご家庭の備えに /

写真を入れられるペット用防災バッグを見る

※ペットの写真をプリントでき、はぐれたときの目印にもなります

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