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【避難所が無理なら】車中泊避難の高齢者の注意点 足とトイレの備え

避難所が難しい高齢の家族と車中泊避難をするときにエコノミークラス症候群とトイレの我慢を防ぐ注意点を解説する記事のアイキャッチ画像 避難の手順とタイミング

大きな地震のあと、避難所の人の多さや段差、トイレの遠さを考えて、「義母を連れて行くなら車のほうがまし」と考える家族は少なくありません。家は余震が怖い、でも避難所は体がもたない。そのあいだの選択肢として、車中泊はとても現実的です。ただ、狭い座席で何日も過ごすと、足の血の流れが悪くなる「エコノミークラス症候群」や、トイレを我慢することによる体調の悪化が起きやすくなります。車中泊そのものが悪いわけではありません。足を伸ばせる寝床と、夜中のトイレの手段を先に用意しておけば、高齢の家族の負担はぐっと軽くできます。この記事では、車中泊で高齢者に起きやすいことと、その防ぎ方、トイレの備え、事前に決めておくことを順番にまとめました。

車中泊を考えたときの不安
  • 狭い座席で眠れるのか
  • 夜中のトイレをどうするか
  • 足がむくんで歩けなくなる
  • 暑さや寒さに耐えられるか
  • どこに車を停めればいいのか
義母の避難に悩む読者のイラストアイコン
読者

避難所は義母には無理だと思うので、いざとなったら車で過ごそうと考えています。でも、車中泊は危ないという話も聞いて、迷っています。

災害医療の修士号をもつ防災士である管理人のイラストアイコン
管理人

車を選ぶのは、ご家族の状況を考えた立派な判断です。危ないと言われる理由はほぼ決まっていて、多くは事前の準備で減らせます。足を伸ばして眠れるか、夜のトイレをどうするか、この2つから考えてみましょう。

今日ひとつだけやるなら、家の車の後部座席を倒して、大人が足を伸ばして横になれるかを試してみてください。横になれるかどうかで、車中泊の準備の中身が大きく変わります。

車中泊避難で高齢者が注意すること

車中泊で高齢の家族に起きやすい困りごとは、大きく分けると3つあります。足の血の流れが悪くなること、トイレを我慢して水を控えてしまうこと、そして車内の空気や温度の変化です。この3つはつながっていて、トイレに行きにくいから水を飲まない、水を飲まないから血が固まりやすくなる、という流れで重なっていきます。どれも年齢とともに起きやすくなるものの、仕組みを知っておけば手の打ちようがあります。順番に見ていきましょう。

\ 在宅避難でいちばん困るのはトイレです /

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※高齢の家族がいる家庭ほど、我慢がききません

エコノミークラス症候群

エコノミークラス症候群は、長いあいだ同じ姿勢で座っていることで、足の奥の血管に血のかたまりができる状態です。そのかたまりが流れて肺の血管に詰まると、息苦しさや胸の痛みが起き、命に関わることもあります。過去の地震でも、車中泊をしていた人に多く見られたことが知られています。高齢の方や、足の手術を受けたことがある方、血が固まりやすい病気で治療中の方は、とくに気をつけたい症状です。

トイレを我慢して水を控える

夜中に車を降りてトイレまで歩くのは、足の弱い高齢者には大変です。そのため「トイレに行きたくならないように」と、水やお茶を控えてしまう方が少なくありません。体の水分が減ると、血がどろっとして固まりやすくなります。トイレの不安をなくすことは、エコノミークラス症候群の予防そのものにつながります。脱水は便秘や体のだるさの原因にもなるため、飲める環境づくりが大切です。

一酸化炭素中毒と暑さ寒さ

寒い時期にエンジンをかけたまま眠ると、雪でマフラー(排気口)がふさがれ、排気ガスが車内に入り込むことがあります。排気ガスに含まれる一酸化炭素は、においがなく気づきにくいのが怖いところです。雪の日はエンジンを切って眠るか、マフラーのまわりの雪をこまめに取り除いてください。夏は反対に、締め切った車内の温度が短い時間で上がるため、日中に高齢の家族を車内に残さないようにしましょう。

車中泊でやってはいけないこと
  • 座ったままの姿勢で眠る
  • トイレを理由に水を控える
  • 雪の日のエンジンのかけっぱなし
  • 夏の昼間に車内へ残す
  • 車内でのカセットコンロ

エコノミークラス症候群の防ぎ方

エコノミークラス症候群を防ぐ基本は、「足を伸ばす」「水を飲む」「足を動かす」の3つです。特別な道具がなくても、少しの工夫で取り組めます。なかでも、座ったまま眠らずに足を伸ばして横になれる寝床を作ることが、いちばん大きな助けになります。ただし、持病のある方や血をさらさらにする薬を飲んでいる方は、自己判断で対策を増やさず、かかりつけ医に相談しておくと安心です。3つの防ぎ方をくわしく見ていきます。

足を伸ばして眠れる寝床を作る

車種によっては、後部座席を倒すと平らに近い床ができます。座席のすき間や段差には、タオルや衣類、クッションを詰めて平らにしましょう。足の下に丸めた毛布やバッグを置いて、足を少し高くして眠ると、むくみを減らせる可能性があります。平らにできない車の場合は、前の座席をいっぱいに倒し、足元に荷物を置いて足を乗せるだけでも、座ったまま眠るよりは楽になります。

水分はこまめに少しずつ

水分は、一度にたくさん飲むより、ひと口ずつこまめにとるほうが体に負担がかかりません。目を覚ましたとき、食事のとき、トイレのあとなど、飲むきっかけを決めておくと忘れにくいでしょう。心臓や腎臓の病気で水分の量を決められている方は、その指示を優先してください。アルコールやコーヒーは尿の量が増えて体の水分が出ていきやすいため、車中泊のあいだは控えめにしておくと安心です。

座ったままできる足の運動

座席に座ったままでも、足首を上下に動かしたり、足の指をグーパーしたりする運動ができます。ふくらはぎは血を心臓へ押し戻すポンプの役目をしているため、動かすと血の流れを助けられるからです。痛みや息苦しさが出たら、すぐに中止してください。持病のある方は、かかりつけ医やケアマネジャーに相談してから始め、できる範囲で無理なく行いましょう。数時間に一度は車の外に出て、家族が付き添いながら少し歩くのもおすすめです。

車中泊のあいだは水をひと口飲む・足首を動かす・トイレに行く・車の外を少し歩くことを数時間ごとに繰り返してエコノミークラス症候群を防ぐことを示す図解
車中泊のあいだは水をひと口飲む・足首を動かす・トイレに行く・車の外を少し歩くことを数時間ごとに繰り返してエコノミークラス症候群を防ぐことを示す図解
すぐに医療機関へ相談したい症状
  • 片方の足だけのむくみや痛み
  • ふくらはぎの赤みや熱っぽさ
  • 急な息苦しさ
  • 胸の痛み
  • 意識がぼんやりする

車中泊のトイレの備え

車中泊でいちばん困るのは、夜中のトイレだと言われます。近くのトイレまで暗い中を歩くのは、足の弱い高齢者にとって転倒の危険があり、付き添う家族も眠れません。車の中で用を足せる手段を用意しておくと、本人は水を我慢せずに済み、家族も夜を落ち着いて過ごせます。車の中で使うトイレには、目隠しやにおいの対策も欠かせません。トイレの備えを3つの点から見ていきましょう。

夜中のトイレをどうするか

夜のトイレは、「車の外の施設まで行く」か「車の中で済ませる」かを、寝る前に決めておきます。外まで行く場合は、懐中電灯と杖を手の届く場所に置き、必ず家族が付き添いましょう。足元が見えにくい夜は、車の中で済ませる方法を選ぶほうが、転倒の心配を減らせます。どちらにするかは本人の気持ちも大切なので、恥ずかしさに配慮しながら話し合ってみてください。

車内で使える携帯トイレ

車の中では、袋の中に固める薬剤が入った携帯トイレや、座って使える簡易トイレが役立ちます。座席に座ったまま使えるもの、紙おむつのように使えるものなど、形はいろいろです。窓をふさぐ目隠しと、使ったあとの袋を入れるふた付きの容器も一緒に用意しておくと、においと人目の両方を気にせずに使えます。尿取りパッドや大人用おむつを使っている方は、いつもの量より多めに車へ積んでおきましょう。

必要な数の考え方

トイレの回数は、一般に1人1日5回前後が目安と言われます。高齢の方は夜中に何度も起きることがあるため、普段の回数を家族で確かめてから数を決めると安心です。たとえば2人で3日過ごすなら、5回×2人×3日で30回分になります。携帯トイレの選び方と数の決め方は在宅避難のトイレ 高齢者に必要な携帯トイレの数でくわしく紹介しています。

過ごす人数 1日あたり 3日分の目安
1人 5回 15回分
2人 10回 30回分
3人 15回 45回分

車中泊を選ぶ前に決めておくこと

車中泊は、災害が起きてから思いつきで始めるより、平時に「どんなときに車を選ぶか」を決めておくほうが、ずっと安全に過ごせます。どこに車を停めるか、何を積んでおくかが決まっていれば、揺れのあとに慌てずに動けるでしょう。車中泊は、在宅避難も避難所も難しいときの「つなぎ」として考えておくと、無理なく使い分けられます。事前に決めておきたいことを3つ紹介します。

在宅と避難所との使い分け

まず、家にいられるかどうかを確かめます。家が傾いていない、火が出ていない、浸水や土砂の危険がない場合は、住み慣れた家で過ごす在宅避難が高齢者には負担の少ない選択です。家にいられないときに、避難所が体に合わないなら車中泊、という順番で考えると迷いにくくなります。余震が怖い夜だけ車で眠り、昼は家で過ごすという組み合わせ方もあります。避難所の様子は高齢者の避難所生活は大変 在宅避難という選択肢でも紹介しています。

家にいられない被害や危険があり避難所が本人の体に合わないときに車中泊を選び避難所が体に合うなら避難所へ向かい家が安全ならまず在宅避難を考える順番を示す図解
家にいられない被害や危険があり避難所が本人の体に合わないときに車中泊を選び避難所が体に合うなら避難所へ向かい家が安全ならまず在宅避難を考える順番を示す図解

車を停められる場所を調べる

大きな災害のときは、市区町村が公園や学校の駐車場などを車中泊の場所として案内することがあります。案内が出る場所なら、トイレや情報、支援物資を受け取りやすいのが利点です。車中泊ができる場所の考え方は自治体によって違うため、お住まいの市区町村の防災担当課やホームページで確かめておいてください。車中泊をするときは、避難所の受付や市区町村に居場所を伝えておくと、支援物資や情報が届きやすくなります。

車に積んでおくもの

車中泊を想定するなら、普段から車に少しずつ積んでおくと、いざというときに持ち出す手間が減ります。とくに高齢の家族の分は、薬や着替えなど、本人にしか合わないものが多いため、家族で中身を確かめておきましょう。ガソリンは半分を切ったら早めに入れる習慣をつけておくと、災害のあとに給油の列に並ばずに済みます。積んでおきたいものを下にまとめました。

車に積んでおきたいもの
  • 携帯トイレと目隠し
  • 毛布と足を乗せるクッション
  • 飲み水とコップ
  • 数日分の薬とお薬手帳の写し
  • 懐中電灯と予備の電池
  • スマホの車載充電器

よくある質問

車中泊避難と高齢の家族について、よく寄せられる疑問をまとめました。体調の変化が気になるときは、我慢せずに医療機関や避難所の救護所に相談することが何より大切です。持病のある方の対策は人によって違うため、平時のうちにかかりつけ医やケアマネジャーに「車で過ごすことになったら何に気をつければいいか」を聞いておくと安心できます。気になる項目だけ読んでいただいて構いません。

何日くらいまでなら車中泊できますか

何日までなら安全という決まった日数はありません。1日目からエコノミークラス症候群が起きることもあるため、日数よりも、足を伸ばせているか、水を飲めているか、足を動かせているかを毎日確かめることが大切です。長く続きそうなときは、在宅避難や福祉避難所など、ほかの過ごし方に移れないかを市区町村に相談してみてください。

弾性ストッキングははいたほうがいいですか

弾性ストッキングは、足を締めつけて血の流れを助けるもので、エコノミークラス症候群の予防に使われることがあります。ただし、足の血管や皮膚の病気がある方には合わない場合もあります。使ってよいかは、かかりつけ医や薬剤師に相談してから決めてください。

エンジンをかけて暖房を使ってもいいですか

暖房のためにエンジンをかけること自体はできますが、雪が積もる場所ではマフラーがふさがれて一酸化炭素中毒になるおそれがあります。エンジンをかけるときは、マフラーのまわりの雪をこまめに取り除き、眠るときは切るのが安全です。毛布や湯たんぽ、重ね着で体を温める工夫も組み合わせましょう。

車いすの家族も車中泊できますか

車への乗り降りに介助が必要な方は、何度も乗り降りすること自体が大きな負担になります。乗り降りの回数を減らすため、車内でトイレを済ませられる準備をしておくと楽になるでしょう。車中泊が難しい場合は、福祉避難所を使えないかを、ケアマネジャーや市区町村の福祉課に相談してみてください。

ペットも一緒に車中泊できますか

避難所でペットと同じ部屋で過ごせないことから、ペットのいる家庭が車中泊を選ぶことはよくあります。ただし、車内に人とペットが一緒にいると、においや暑さがこもりやすくなります。換気の時間を決め、ペットのトイレも人とは別に用意しておきましょう。夏に車内へペットだけを残すのは避けてください。

車中泊でも支援物資はもらえますか

車中泊をしている人も、在宅避難の人と同じく、支援物資や情報を受け取ることができます。ただし、居場所が伝わっていないと、支援が届きにくくなるのが実情です。近くの避難所の受付や市区町村に、車中泊をしていることと人数を伝えておくと、受け取りやすくなります。

まとめ

車中泊は、家にいられず避難所も体に合わない高齢の家族にとって、現実的な選択肢の一つです。注意したいのは、足の血の流れが悪くなるエコノミークラス症候群と、トイレを我慢して水を控えてしまうこと、そして一酸化炭素中毒や暑さ寒さです。足を伸ばして眠れる寝床と、車の中で使えるトイレを先に用意しておけば、車中泊の危険の多くは減らせます。車中泊ができる場所の案内は自治体によって違うため、お住まいの市区町村でもあわせて確かめてください。

この記事の振り返り
  • 座ったまま眠らない
  • 水はこまめに少しずつ
  • 足首を動かし、ときどき歩く
  • 車内で使えるトイレを用意
  • 雪の日はマフラーの雪を除く
  • 停める場所を平時に調べる

今日は、家の車の後部座席を倒して、足を伸ばして横になれるかを試してみてください。次に、車に携帯トイレと毛布を積んでおくと、もしものときに水を我慢せず過ごせる車ができあがります。

\ 在宅避難でいちばん困るのはトイレです /

備蓄しやすい簡易トイレ「スツーレ」を見る

※高齢の家族がいる家庭ほど、我慢がききません

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