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【暖房が止まっても】在宅避難の寒さ対策 冬の停電で高齢者を守る工夫

冬の停電や断水で暖房が止まったときに高齢者の体を冷やさないため家の中でできる寒さ対策を解説する記事のアイキャッチ画像 在宅避難の備え

冬に大きな地震が起きて停電すると、エアコンもファンヒーターもこたつも使えなくなります。水道まで止まれば、お風呂で温まることも、温かい料理を作ることも難しくなるでしょう。足の弱い親と家で過ごすことになったら、寒さから親をどう守ればいいのか。そう考えて不安になるのは自然なことです。暖房が止まっても、過ごす部屋を1つにしぼり、すき間をふさぎ、重ねて着て、内側から温める順番を決めておけば、家の中でできる寒さ対策はあります。この記事では、冬の在宅避難で体を冷やさない工夫と、暖房器具を安全に使うための注意、迷ったときの判断の目安をまとめました。

冬の停電で心配なこと
  • 暖房がすべて止まる
  • お風呂で温まれない
  • 夜中のトイレが寒い
  • ストーブの換気が不安
  • 避難所まで歩けない
義母の避難に悩む読者のイラストアイコン
読者

義母は寒がりなのに「我慢できるから」と言って、厚着を嫌がります。冬に停電したら、家の中で体が冷えきってしまわないか心配です。

災害医療の修士号をもつ防災士である管理人のイラストアイコン
管理人

その心配はもっともです。高齢の方は寒さに気づきにくく、体の熱も逃げやすいので、本人の「我慢できる」だけで判断しないことが大切なんです。家族で過ごす部屋と温める順番を決めておけば、停電中でも冷えをかなり減らせますよ。

今日ひとつだけやるなら、冬の昼間に家の中でいちばん日が当たる部屋はどこか、家族で確かめてみてください。停電したときに集まる部屋が決まっているだけで、慌てずに動き出せます。

冬の在宅避難で体が冷える理由

冬の停電でこわいのは、部屋の寒さそのものよりも、気づかないうちに体温が少しずつ下がっていくことです。高齢になると寒さを感じる力が弱くなり、体の中で熱を作る力も落ちていきます。本人が「寒くない」と言っていても、手足が冷たくなっていることがあるため、家族が触って確かめることが大切です。暖房が止まった家では、室温は夜に向かって下がり続けます。まずは冬の在宅避難で体が冷えやすくなる理由を3つ知っておきましょう。

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※電気毛布やスマートフォンの充電、電気を使う医療機器の備えになります

寒さを感じにくく熱を作りにくい

年齢を重ねると、皮膚で寒さを感じる力が弱くなり、筋肉の量も減っていきます。筋肉は体の中で熱を作る場所なので、量が減ると体が温まりにくくなるのです。本人の感覚ではなく、室温の数字と手足の冷たさで判断するのが安全です。厚着を嫌がる方には、動きやすい薄手の服を何枚か重ねる形を提案してみましょう。

暖房が止まると室温が下がり続ける

冬の停電では、エアコンや石油ファンヒーター、こたつなど、電気を使う暖房はほとんど動きません。灯油を使うファンヒーターも、点火や送風に電気を使うため止まってしまいます。日が沈むと室温はさらに下がるので、停電が夜まで続きそうなときは、明るいうちに過ごす部屋と寝る場所を整えておくことが欠かせません。

断水で温まる手段が減る

地震で水道が止まると、お風呂で温まることができず、温かい料理や飲み物も作りにくくなります。冷たい食事が続くと、体の内側から温まる機会が減ってしまうでしょう。カセットコンロと少しの水があれば、お湯を沸かして温かい飲み物を用意できます。お湯は飲むだけでなく、湯たんぽにも使えます。

体が冷えやすい状況
  • 広い部屋に一人でいる
  • 窓や床から冷気が入る
  • 濡れた服を着たまま
  • 冷たい食事が続く
  • じっと座ったまま

在宅避難の寒さ対策の基本

暖房が使えなくても、家の中で体を冷やさない工夫はいくつもあります。大切なのは、思いついたものから試すのではなく、効果の大きいものから順番に進めることです。「部屋をしぼる → すき間をふさぐ → 重ねて着る → 内側から温める」の順で考えると、限られた物でも寒さをしのぎやすくなります。どれも家にある物で始められるものばかりです。停電中に試したい基本の工夫を4つ紹介します。

日当たりのよい1部屋に集まる

家族がばらばらの部屋で過ごすと、それぞれの部屋が冷えていきます。停電したら、昼間に日が当たる、なるべく小さめの部屋に家族で集まりましょう。人が集まるだけでも、体温で部屋は少し暖かくなります。足の弱い親が階段を使わずに済むよう、寝る場所も含めて1階の1部屋で過ごせるように、平時から準備しておくと動きやすくなります。

窓と床からの冷えを防ぐ

部屋の熱は、窓や床から多く逃げていきます。カーテンを床まで届くように閉め、すき間には毛布やバスタオルを掛けておくと冷気が入りにくくなるでしょう。床に直接座ったり寝たりすると体の熱が奪われやすいので、段ボールやマット、座布団を敷いて床との間に一枚はさんでください。

首・手首・足首を重ねて守る

首、手首、足首は皮膚のすぐ下を血管が通っていて、ここが冷えると体全体が冷えやすくなります。マフラーやネックウォーマー、手袋、厚手の靴下で「3つの首」を覆いましょう。厚い服を1枚着るより、薄手の服を何枚か重ねるほうが、服の間に空気の層ができて暖かく感じられます。帽子をかぶると、頭から逃げる熱も減らせます。

布団の中と体の内側を温める

湯たんぽにお湯を入れて布団の中に入れておくと、寝る前に寝具を温められます。ポータブル電源があれば、使う電気の少ない電気毛布を動かせる機種も多く、夜の冷えを和らげる助けになるでしょう。寝る前に温かい飲み物を一杯とると、体の内側からも温まります。温かい飲み物の用意には、カセットコンロとやかんがあると便利です。

冬の停電前にそろえたいもの
  • 電池式の温度計
  • 湯たんぽとカバー
  • カセットコンロとガス
  • ネックウォーマーと手袋
  • 床に敷く段ボールやマット
冬の停電で寒いときは日の当たる1部屋に過ごす場所をしぼり、窓と床の冷気をふさぎ、首や手首や足首を重ね着で守り、湯たんぽと温かい飲み物で内側から温めるという順番で対策を進めることを示す図解
冬に停電して寒いときは過ごす部屋を1つにしぼりすき間をふさぎ重ねて着て内側から温めるという順番で対策を進めまずは部屋をしぼることから始めることを示す図解

暖房器具を安全に使う注意

停電中に電気を使わない暖房器具があると心強いものです。ただ、使い方を間違えると、やけどや一酸化炭素中毒といった別の危険を招くことがあります。一酸化炭素は色もにおいもないため、気づいたときには頭痛や吐き気が出ていることも少なくありません。火やガスを使う暖房は「こまめな換気」と「寝るときは消す」の2つを、家族全員の約束にしておきましょう。暖房器具を安全に使うための注意を3つ紹介します。

カセットガスストーブは換気する

カセットガスストーブは電気を使わずに部屋を暖められる便利な器具です。ただし燃焼で一酸化炭素が出ることがあるため、取扱説明書に従って1時間に1〜2回は窓を開けて換気してください。寝ている間は換気ができないので、寝る前には必ず消します。カーテンや布団など燃えやすい物から離して置くことも忘れないでください。

湯たんぽとカイロの低温やけど

湯たんぽや使い捨てカイロは、熱く感じない温度でも、同じ場所に長く当て続けると低温やけどを起こすことがあります。高齢の方は皮膚が薄く、熱さを感じにくいため、気づいたときには深いやけどになっていることもあるでしょう。湯たんぽはカバーやタオルで包み、寝る前に布団から出すか、体から離して足元に置いてください。カイロは肌に直接貼らず、寝るときは外します。

車や発電機を家の中で使わない

停電が長引くと、エンジンをかけた車で暖をとったり、発電機を使ったりすることを考えるかもしれません。発電機を家の中や玄関、車庫など閉めきった場所で動かすと、一酸化炭素がたまって大変危険です。発電機は必ず屋外の風通しのよい場所で使い、窓や換気口の近くにも置かないでください。車で暖をとる場合も、雪でマフラーがふさがれていないかを必ず確かめる必要があります。

室内でやってはいけないこと
  • 発電機を家の中で動かす
  • 換気せずにストーブを使う
  • ストーブをつけたまま寝る
  • カイロを肌に直接貼る
  • 七輪や炭火で暖をとる

夜とトイレの冷えへの備え

冬の在宅避難で特に気をつけたいのが、気温が最も下がる夜から明け方の時間です。夜中にトイレへ起きると、暖かい布団から寒い廊下やトイレへ移ることになります。急な温度差は血圧を大きく変え、体に負担をかけることがあると言われています。夜のトイレは「明かり」「上着」「温度差を小さくする工夫」の3つを、寝る前に準備しておくと安心です。夜とトイレの冷えへの備えを3つ紹介します。

寝る前に上着と明かりを枕元へ

夜中に起きたとき、真っ暗で寒い中を歩くのは転倒の原因になります。寝る前に、はおれる上着とスリッパ、手元を照らせるライトを枕元に置いておきましょう。布団から出る前に上着をはおり、ライトをつけてから立ち上がる順番を、親と一緒に決めておくと動きやすくなります。起き上がるときは、いったん座ってから立つと、ふらつきを防ぎやすくなります。

トイレとの温度差を小さくする

停電中は、寒い廊下の先のトイレまで歩くこと自体が負担になります。夜の間だけ、過ごしている部屋の近くに携帯トイレやポータブルトイレを置くのもひとつの方法です。断水しているときは水洗トイレが流せないこともあるため、携帯トイレの数は在宅避難のトイレ 高齢者に必要な携帯トイレの数を参考に備えておいてください。

トイレを我慢させない

寒さやトイレの面倒さから、水分を控える高齢の方は少なくありません。しかし、水分が足りないと体調を崩しやすくなります。寝る前の温かい飲み物は、量を少なめにして早めの時間にとるなど、無理のない形を探してみましょう。心臓や腎臓の病気などで水分の量を制限されている方は、とってよい量をかかりつけ医に確認しておいてください。

時間帯 冷えやすい場面 できる工夫
夕方 日が沈み室温が下がる 明るいうちに寝床を整える
夜中 布団からトイレへ移る 上着とライトを枕元に置く
明け方 一日で最も冷え込む 湯たんぽを入れ直す

低体温のサインと動き方

どれだけ気をつけていても、寒さが続くと体温が下がりすぎてしまうことがあります。体の中心の温度が下がりすぎた状態を「低体温症」と呼び、家の中でも起こることがあります。大切なのは、早めのサインに気づいて、すぐに体を温めることです。呼びかけへの反応が鈍い、話し方がおかしいときは、迷わず119番に電話してください。停電中でも、携帯電話がつながれば救急車は呼べます。低体温のサインと、迷ったときの動き方を3つ紹介します。

早めのサインを見逃さない

体の震え、手足の冷たさ、顔色の悪さ、動きがゆっくりになるといった様子は、体が冷えているサインです。高齢の方は震えが出にくいこともあり、「なんとなく元気がない」「眠そうにしている」という形で表れることもあります。いつもと様子が違うと感じたら、濡れた服を乾いた服に替え、毛布で包んで温めましょう。自分で飲み込める場合は、温かい飲み物を少しずつとってもらいます。

反応がおかしいときは119番

呼びかけへの返事がはっきりしない、ろれつが回らない、ぼんやりしている、震えていたのに急に震えが止まったといったときは、重い低体温症の可能性があります。このようなときは家で様子を見ず、すぐに119番に電話して、救急車を待つ間も毛布で体を包んで温め続けてください。手足を強くこするのは避けましょう。判断に迷う場合は、地域によっては救急安心センター(#7119)で相談できることもあります。

家で過ごせないときの避難先

停電が長引き、家の中がどうしても寒くて過ごせないときは、暖房のある場所へ移ることも考えます。避難所によっては暖房や発電機が用意されていることがありますが、どこが使えるかは地域や災害の状況によって違います。お住まいの市区町村の防災担当課で、冬の停電時に暖をとれる場所を確認しておいてください。避難所や福祉避難所の使い方は福祉避難所とは 使い方と頼れる範囲で紹介しています。

すぐに119番が必要なサイン
  • 呼びかけへの反応が鈍い
  • ろれつが回らない
  • 震えが急に止まった
  • 自分で飲み込めない
体が冷えて低体温が疑われるときは呼びかけに反応できるか、自分で飲み込めるかを確かめ、どちらかができなければすぐ119番に電話し、できれば乾いた服に替えて毛布で包み温かい飲み物で温めるという判断の流れを示す図解
体が冷えて低体温が疑われるときは呼びかけに反応できるかと自分で飲み込めるかを確かめどちらかができなければすぐ119番に電話しできれば乾いた服に替えて毛布で包み温かい飲み物で温めるという判断の流れを示す図解

よくある質問

冬の停電と寒さ対策について、よく寄せられる疑問をまとめました。すべてを一度にそろえる必要はありません。湯たんぽ1つ、温度計1つからでも十分な一歩になります。持病や飲んでいる薬がある方は、冬の過ごし方をかかりつけ医に相談しておくと安心です。介護サービスを使っている場合は、ケアマネジャーにも停電時の過ごし方を伝えておきましょう。気になる項目だけ読んでいただいて構いません。

室温は何度を目安にすればいいですか

冬の室温は、18度以上を保つことがひとつの目安とされています。停電中は難しいこともありますが、電池式の温度計を親が過ごす部屋に置き、数字で確かめる習慣をつけておくと判断しやすいでしょう。室温が下がってきたら、重ね着や湯たんぽを早めに足してください。

親が厚着を嫌がります

厚手の服は重く、動きにくいと感じる方が多いものです。無理に着てもらうより、薄手の肌着を1枚足す、ネックウォーマーや靴下だけ身につけてもらうなど、負担の少ない方法から試してみてください。「温度計が15度になっているから」と数字を見せて伝えると、受け入れてもらいやすくなります。

ポータブル電源で暖房は使えますか

エアコンやセラミックヒーターは使う電気が大きいため、長い時間動かし続けるのは難しいことが多いです。一方で、電気毛布は使う電気が比較的少なく、ポータブル電源で一晩使える機種もあります。何に使いたいかを先に決めてから容量を選ぶと失敗しにくくなります。停電時の照明や医療機器の備えは高齢者と暮らす家の照明・暖房・医療機器の備えで紹介しています。

湯たんぽのお湯は飲み水と別に必要ですか

湯たんぽに入れたお湯は、冷めたあとに体を拭いたり、トイレを流したりする生活用水として使い回せます。ただし、飲み水には回さないでください。湯たんぽ1つに使う水の量は製品によって違うので、備蓄する水の量に少し上乗せしておくと安心です。水の量の決め方は断水しても慌てない 高齢者がいる家庭の水の備えを参考にしてください。

夏の停電対策と何が違いますか

夏は「部屋と体を冷やす」、冬は「熱を逃がさない」ことが中心になります。どちらも、過ごす部屋を決めて家族で集まり、温度計の数字で判断するという考え方は同じです。夏の停電の備えは停電時の熱中症対策 高齢者の在宅避難でまとめているので、季節ごとに見直すきっかけにしてください。

まとめ

冬の停電で暖房が止まると、寒さを感じにくく熱を作りにくい高齢者は、気づかないうちに体が冷えていきます。それでも、過ごす部屋を1つにしぼり、すき間をふさぎ、重ねて着て、内側から温める順番を決めておけば、家の中でできる対策は少なくありません。本人の「我慢できる」ではなく、温度計の数字と手足の冷たさで判断することが、親を寒さから守る近道です。

この記事の振り返り
  • 日当たりのよい1部屋に集まる
  • 窓と床の冷気をふさぐ
  • 首・手首・足首を守る
  • 湯たんぽで寝床を温める
  • ストーブはこまめに換気
  • 反応が鈍ければ119番

今日は、冬の昼間に日が当たる部屋がどこかを家族で確かめてみてください。次に、湯たんぽと電池式の温度計を用意しておくと、停電中も数字と温かさで寒さに向き合えます。停電が長引いたときに電気毛布や充電を続けたい場合は、ポータブル電源も選択肢のひとつになるでしょう。

\ 停電が長引いても、家で過ごすために /

家庭で使えるポータブル電源Jackeryを見る

※電気毛布やスマートフォンの充電、電気を使う医療機器の備えになります

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