「避難所に行けば安心」と思っていたのに、義母の体を考えると、本当に耐えられるのか心配になりますよね。実は、その心配は的を射ています。避難所の生活は、元気な大人でも疲れる環境で、足腰の弱い高齢者にはさらに負担が重なります。あなたが心配しすぎなのではありません。この記事では、高齢者にとって避難所生活が大変な理由と、避難所以外の選択肢、それでも避難所へ行くときの備えを、順番に整理します。
- 避難所で義母が眠れるか心配
- 床に座るのも立つのもつらそう
- トイレの数や場所が不安
- 周りに迷惑をかけないか気になる
- 避難所以外の道があるか知りたい

義母は膝が悪いので、体育館の床で何日も過ごせるとは思えません。でも、家にいて大丈夫なのかも分かりません。

どちらか一方を選ばなくても大丈夫です。まず避難所の現実を知り、家の状況と照らして決めていきましょう。
今日ひとつだけやるなら、義母が「床に座って、自分で立ち上がれるか」を一度見てみることです。それだけで、避難所生活の大変さが具体的に見えてきます。
高齢者の避難所生活が大変な理由

避難所は、たくさんの人が一時的に身を寄せる場所であり、一人ひとりに合わせた環境にはなっていません。床・トイレ・人の多さという3つの条件が、足腰の弱い高齢者には重くのしかかります。多くの避難所に共通しやすい点を、順に見ていきましょう。
床の硬さと冷えがつらい
避難所は、体育館や公民館の床にマットや毛布を敷いて過ごす形が多くなります。硬い床は、座る・寝る・立つの動作すべてで膝や腰に負担がかかります。
床からの冷えも見逃せません。低い位置で寝ていると、起き上がるだけで一仕事になり、動くこと自体を減らしてしまうことがあります。段ボールベッドなどが用意される避難所もありますが、どの避難所にも必ずあるとは限りません。
トイレが遠く、数も足りない
避難所のトイレは、人数に対して足りなくなりがちです。列に並ぶ時間が長く、杖を使う高齢者には、待つこと自体が負担になります。
洋式が少ない、暗い、段差がある、といった状況もあり得ます。行きづらさから、トイレを我慢してしまう方も少なくありません。
人の多さと音で眠れない
周りの話し声、赤ちゃんの泣き声、夜も消えない明かり。落ち着いて眠れる環境ではありません。耳が遠い方は、放送や呼びかけを聞き逃してしまうこともあります。
認知症のある方や環境の変化が苦手な方は、慣れない場所で混乱しやすくなります。家族がずっとそばで付き添う負担も見過ごせません。

避難所で起きやすい体の不調

避難所での不便は、そのまま体の不調につながることがあります。不調は大きな事故として現れるよりも、少しずつ体力が落ちていく形で進みやすいのが特徴です。ここでは、特に知っておきたい3つを紹介します。
動かない日が続いて足腰が弱る
座ったり寝たりして過ごす時間が長くなると、筋力が落ちて歩きにくくなることがあります。これは「生活不活発病」と呼ばれ、災害後に高齢者で起こりやすいとされています。
できる範囲で、こまめに体を動かすことが負担を減らす助けになる可能性があります。ただし、痛みや息苦しさが出たら中止してください。持病がある場合は、かかりつけ医やケアマネジャーに相談してから、無理のない範囲で行いましょう。
- 痛み・息苦しさが出たら中止
- 持病があれば事前に主治医へ
- できる人が、できる範囲で
- 転倒しない場所と時間を選ぶ
水分を控えて体調を崩す
トイレが心配で、水やお茶を控えてしまう方がいます。水分が不足すると、脱水や血液が固まりやすい状態につながる可能性があります。
足のむくみや痛み、息苦しさなど、いつもと違う様子があれば、避難所の救護担当者や保健師に早めに伝えてください。「我慢しない」と家族が声をかけることが、いちばん手軽な予防になります。
薬や道具が足りず困る
いつもの薬、入れ歯、補聴器、メガネが手元にないと、食事や会話に困り、体調にも影響します。避難所では、これらを借りたり手に入れたりするのが簡単ではありません。
薬については、高齢の親の薬の備え方にまとめています。あわせて読んでみてください。
在宅避難という選択肢

家が安全であれば、あえて避難所へ行かず、自宅で過ごす「在宅避難」も現実的な方法です。慣れた環境で過ごせるため、高齢者の体と心の負担を小さくできる場合があります。ただし、家の危険度を確かめたうえで選ぶことが前提です。
家にとどまれる条件を確かめる
在宅避難を選べるのは、家が倒壊や浸水、土砂災害の危険にさらされていないときだけです。自宅の危険度は、ハザードマップの見方で5分ほどで確認できます。
色が濃い場所にお住まいなら、無理にとどまらず、早めに安全な場所へ動くことを優先してください。
家で足りなくなるものを先に埋める
在宅避難で困りやすいのは、水・トイレ・停電の3つです。特にトイレは、我慢がききにくい高齢者ほど、先に備えておきたいものです。
- 携帯トイレの数
- 飲み水と生活用水
- 停電時の明かりと暖房
- いつもの薬の予備
避難所を「昼だけ使う」考え方もある
在宅避難と避難所は、二者択一ではありません。家で夜を過ごし、日中だけ物資や情報を取りに行く、という使い方もできます。
支援物資や情報は、避難所に集まることが多いためです。自宅で過ごす場合でも、お住まいの市区町村で受け取り方を確認しておくと安心です。

避難所へ行くと決めたときの備え

自宅が危ない場合や、電気や水が長く止まる場合は、避難所へ行く判断が必要です。行くと決めたら、負担を減らす備えと、事前の相談先を確認しておくと安心です。あなたが一人で背負わなくても済むよう、頼れる先も整理します。
福祉避難所を事前に確認する
一般の避難所での生活が難しい方のために、福祉避難所が設けられる場合があります。ただし、直接行けないことも多く、開設の有無や受け入れの手順は市区町村ごとに異なります。
お住まいの市区町村の福祉課や防災担当課、担当のケアマネジャーに、事前に確認しておくことをおすすめします。詳しくは福祉避難所の使い方をご覧ください。
体を守る道具を手元に持つ
避難所では、自分で持ち込んだものが頼りになります。次のものを、すぐ出せる形で袋にまとめておきましょう。
- いつもの薬とお薬手帳
- 入れ歯・補聴器・メガネ
- 羽織れるものと靴下
- 携帯トイレと着替え
- 大きめの敷物
持ち出し袋の中身は、足の弱い高齢者の持ち出し袋で、重さの目安とあわせて紹介しています。
到着したらすぐ、困りごとを伝える
避難所に着いたら、受付や運営の担当者に、義母の状態を早めに伝えます。歩行に杖が要る、耳が遠い、薬を飲んでいる、といった情報で構いません。
トイレに近い場所や、壁際の落ち着ける場所を相談してみましょう。言い出しにくくても、伝えれば配慮してもらえることがあります。
よくある質問

避難所での生活について、よくある疑問をまとめました。気になる項目だけ読んでいただいて構いません。状況によって答えが変わるものは、お住まいの市区町村や担当のケアマネジャーにも確認してください。
高齢者は避難所で何日くらい過ごせますか
体調や環境で大きく変わるため、一概には言えません。数日でも負担が大きい方がいるので、「何日もつか」ではなく、家に戻れるか、別の場所へ移れるかを早めに考えておくと安心です。
避難所にベッドや布団はありますか
避難所によって異なります。段ボールベッドなどが用意される場合もありますが、届くまでに時間がかかることもあります。自分で敷物や羽織れるものを持って行くと安心です。
福祉避難所には最初から行けますか
多くの自治体では、まず一般の避難所へ行き、状態を確認したうえで移る流れになります。ただし運用は自治体ごとに違うため、お住まいの市区町村で確認してください。
杖や車いすで避難所の中を移動できますか
入口に段差がある、通路が狭い、といったことも起こり得ます。事前に、避難所の入口やトイレまでの経路を見に行けると安心です。車いすの場合は、車いすの避難経路の確認方法も参考にしてください。
ペットがいても避難所へ行けますか
ペットの受け入れは避難所ごとに扱いが異なります。人と同じ部屋には入れず、屋外や別の場所で預かる形になることもあります。受け入れの可否は、市区町村に事前に確認しておきましょう。
まとめ

高齢者にとって避難所の生活が大変なのは、あなたの気にしすぎではなく、環境の現実です。床・トイレ・人の多さが重なり、動かない、飲まない、眠れない、という流れになりやすいためです。だからこそ、家が安全なら在宅避難を選ぶ、必要なら福祉避難所や避難所を使う、という選択肢を、事前に持っておくことが大切です。完璧に決めなくても構いません。まずは義母が床から立ち上がれるかを、一度見てみましょう。
- 避難所は床・トイレ・人の多さが負担
- 動かない日が続くと足腰が弱る
- 水分を控えないよう声をかける
- 家が安全なら在宅避難も選べる
- 福祉避難所は事前に市区町村へ確認
- 着いたら困りごとをすぐ伝える
今日は、お住まいの市区町村の防災担当課に電話して、「高齢の家族がいる場合の避難先」を聞いてみてください。費用はかかりません。家で過ごす場合に先に備えたいのが、トイレです。


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