足腰が弱く車いすを使うご家族がいると、「地震や豪雨のとき、この道を本当に通れるのだろうか」という不安が消えないものです。避難場所までの距離は地図で分かっても、玄関前の段差や、電柱と塀の間の道幅までは、地図には表れません。実際に車いすで通ってみて初めて、「ここは無理だ」と気づくことも珍しくありません。この記事では、車いす避難を阻む3つの壁の正体から、経路を確認する具体的な手順、通れない場所に備える工夫、よくある疑問まで順にお伝えします。今日やることは、玄関から道路までをご家族と一緒に歩いてみるだけで十分です。
車いす避難を阻む3つの壁

はじめに、車いすでの避難がなぜ難しくなるのかを整理します。車いすでの避難を阻む壁は、主に段差・道幅・傾斜の3つに集約されます。健康な大人が難なく歩ける道でも、車輪のある車いすには、わずか数センチの段差が大きな壁になります。ふだん何気なく通っている近所の道こそ、実は見落とし穴が多い場所です。順に確認していきましょう。
玄関前の段差
最初に見るべきは、家を出てすぐの場所です。玄関の上がり框や門扉の敷居など、車いすが自力では越えられない数センチの段差が、避難の出だしでつまずく原因になります。ここを甘く見ると、避難そのものが始まりません。
折りたたみのスロープ板を玄関に常備しておくだけで、最初の壁はほぼ解消できます。まずは自宅の段差から測ってみてください。
すれ違えない道幅
次に見るのは道の幅です。標準的な車いすの幅は約60センチですが、介助者が並んで押すには90センチ以上、人とすれ違うにはおよそ140センチの道幅が必要になります。ふだんは気にならない生垣や自転車の放置が、いざというときに道をふさぎます。
- 植木鉢や自転車の放置
- 電柱と塀のすき間
- 工事中の仮設フェンス
短い坂道の傾斜
最後に見落としやすいのが、坂道の傾斜です。短い坂でも勾配が急だと、介助者一人では車いすを支えきれず、下り坂では制御を失う危険があります。近所の緩やかな迂回路をあらかじめ知っておくだけで、当日の選択肢が増えます。
- 玄関前や門扉の段差
- すれ違えない道幅
- 短い坂道の傾斜
- 倒れた自転車や植木鉢
- 夜間の暗がり

地図で見ると近くの公園まで5分もかからないのですが、実際に車いすで行けるか、正直自信がありません。

地図の直線距離と、車いすで通れる距離は別物です。一度、晴れた日に実際に車いすで歩いてみることをお勧めします。

車いす避難の経路確認の仕方

ここが記事の中心です。車いすの避難経路を確認する仕方は、地図で当たりをつける、実際に車いすで歩いてみる、通れなかったときの代わりを用意する、という3つの手順で進みます。一度確認して終わりにせず、季節や工事の状況で道は変わるものだと考えておくと安心です。順に見ていきましょう。
ハザードマップでの危険地点確認
最初にやることは、机の上でできる確認です。自治体が公開しているハザードマップで、浸水や土砂災害の危険区域、ブロック塀の多い通りを事前に見ておくと、実際に歩く前に候補を絞り込めます。危険地点をあらかじめ避けておくだけで、下見の手間はぐっと減ります。
車いすでの実地下見
地図で当たりをつけたら、実際に車いすを押して歩いてみます。段差の高さや道幅は、実際に通ってみないと正確には分かりません。特に晴れた日中だけでなく、夜間や雨の日を想定して歩いてみると、街灯のない暗がりや水たまりのできやすい場所にも気づけます。
複数ルートの用意
下見が終わったら、経路は必ず2本以上用意してください。一本道だけに頼ると、倒木やブロック塀の崩れで通れなくなったとき、他に逃げる手立てがなくなります。メインとサブの2ルートを家族で共有しておくだけで、当日の迷いがなくなります。
- ハザードマップで候補を絞る
- 車いすで実際に歩く
- メインとサブの2ルートを決める

経路を確保するための備え

経路を確認したら、次は通れない場所への備えを考えます。通れない場所への備えは、道具をそろえる、周りと役割を分担する、夜間や雨天も想定するという3つに整理できます。すべてを完璧にそろえる必要はなく、できるところから一つずつ増やしていけば十分です。
折りたたみスロープ板
まずそろえたいのが道具です。折りたたみ式のスロープ板は、段差の多くを一枚で解消でき、玄関先やコンパクトカーの荷室にも収まるサイズが選べます。重さや長さは車いすの種類によって変わるので、実際に段差に当てて試しておくと安心です。
声をかけあう役割分担
次に考えたいのが人の力です。一人では支えきれない段差や坂道も、押す人と支える人の二人がかりなら通れることがあります。近所の顔見知りに「いざというときは一声かけてほしい」と伝えておくだけで、当日動いてくれる人が一人増えます。
夜間と雨天時の想定
最後に、条件が悪いときも想定しておきます。夜間は街灯の有無で歩きやすさが大きく変わり、雨天時は路面が滑りやすくなって速度が落ちます。昼間の下見だけで満足せず、条件の悪い日を想定した準備を一つ加えておいてください。
- 折りたたみスロープ板
- 懐中電灯と予備電池
- 滑りにくい靴
- 近所への一声
- サブルートの共有

よくある質問

最後に、車いすでの避難についてよく寄せられる疑問をまとめました。気になるところだけ読んでいただいて構いません。うちの場合に置き換えながら目を通すと、次に何を確認すればよいかがはっきりします。
車いすが壊れていたら
パンクや車輪の破損は、思っている以上に起こりやすいトラブルです。日頃から簡易的な修理キットを持ち出し袋に入れておくか、近所で車いすを借りられる先(福祉用具の貸与事業所など)を平常時に調べておくと安心です。壊れた場合に備えて、徒歩や台車での移動方法も一つ決めておいてください。
エレベーターが止まったら
集合住宅にお住まいの場合、停電でエレベーターが止まると、車いすでの避難が大きく制限されます。階段避難車を備えている建物か、管理組合や自治体に事前に確認しておいてください。個人で用意するのが難しいときは、近隣住民との助け合いを前提にした計画を立てることになります。
一人で介助できないとき
体格差や坂道の状況によっては、一人での介助が難しい場面が出てきます。そのようなときは無理をせず、その場で助けを呼ぶことを優先してください。個別避難計画を作っておくと、支援者をあらかじめ決めておけるので、当日一人で抱え込まずに済みます。
車いすのまま避難所に入れるか
多くの避難所は車いすでの入場を想定していますが、段差やスペースの都合で入りにくい施設もあります。事前に指定避難所へ問い合わせて、車いすでの動線やスロープの有無を確認しておくと、当日戸惑わずに済みます。
経路の確認はいつやればいいか
特別な日を待つ必要はありません。天気の良い日にご家族と散歩がてら歩いてみるのが、いちばん続けやすい方法です。季節や道路工事で状況は変わるので、半年に一度くらいの頻度で見直しておくと安心です。
まとめ

車いすでの避難を阻むのは、段差・道幅・傾斜という3つの壁です。地図だけで分かることには限りがあるので、経路はハザードマップで当たりをつけたうえで、実際に車いすで歩いて確認し、必ず2本以上のルートを用意しておいてください。通れない場所には、スロープ板などの道具と、近所への一声という人の力の両方で備えておくと安心です。
- 壁は段差・道幅・傾斜の3つ
- ハザードマップで候補を絞る
- 実際に車いすで歩いて確認
- ルートは必ず2本以上
- スロープ板と近所への一声
- 半年に一度は見直す
今日すべてを終える必要はありません。まずは玄関から道路までの数メートルを、ご家族と一緒に歩いてみることから始めてみてください。それだけで、当日動けるかどうかが大きく変わってきます。高齢の家族がいる家庭の備えについて、このブログではこれからも具体的な手順をお伝えしていきます。


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