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【外したまま逃げない】高齢者の入れ歯・補聴器・メガネの防災の備え

高齢の家族の入れ歯と補聴器とメガネを災害に備えるために置き場所を一つに決めて予備を少し持っておく方法を解説する記事のアイキャッチ画像 持ち出しと薬

防災の備えというと、水や食料、薬のことを先に考える方が多いのではないでしょうか。けれど、高齢の家族にとっては、入れ歯・補聴器・メガネも同じくらい欠かせない物です。この3つは毎日使っているぶん、「備える物」として意識されにくく、寝る前に外して置いたまま、揺れで見失ってしまうことがあります。体の一部になっている道具は、置き場所を一つに決めて、予備を少し持っておくだけで、災害のあとの暮らしやすさが大きく変わります。この記事では、入れ歯・補聴器・メガネを災害に備える手順をまとめました。

こんな心配はありませんか
  • 夜は入れ歯を外して寝ている
  • 補聴器の電池の予備がない
  • メガネがないと何も見えない
  • どこに置いたか本人も曖昧
  • なくしたら作り直しが心配
義母の避難に悩む読者のイラストアイコン
読者

義母は夜、入れ歯も補聴器も外して寝ています。夜中に地震が来たら、暗い中で探せる気がしません。そもそも、これって防災で考えることなんでしょうか。

災害医療の修士号をもつ防災士である管理人のイラストアイコン
管理人

とても大切な視点です。見落とされやすいのは、毎日当たり前に使っている物だからで、気づけなかったのはあなたのせいではありません。置き場所を一つ決めるところから始めれば、今夜からでも備えられます。

今日ひとつだけやるなら、寝る前に外す入れ歯・補聴器・メガネを入れておく「ケースを1つ」決めて、枕元に置いてみてください。それだけで、夜中の揺れのあとに見つけられる可能性がぐっと高まるはずです。

高齢者の入れ歯・補聴器・メガネの防災

入れ歯・補聴器・メガネは、なくしても命にすぐ関わる物ではないように思えるかもしれません。ところが災害のあとは、歯科も眼鏡店も補聴器のお店も、しばらく開かないことがあります。手元に戻るまでの数日から数週間、食べる・聞く・見るがうまくいかない状態が続くと、高齢の家族の体と気持ちには大きな負担がかかります。この3つは「あれば便利な物」ではなく、在宅避難の暮らしを支える道具として備えておきましょう。それぞれがないと何に困るのかを見ていきます。

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※電池はサイズが4種類あります。お使いの型番(PR48=オレンジ)を確認してから選んでください

入れ歯がないと食べられない

入れ歯をなくすと、非常食のクラッカーやおにぎりが噛めず、食べる量が減ってしまいます。食べる量が落ちると、体力や気力も落ちやすくなるでしょう。噛めないまま飲み込もうとして、むせてしまうこともあります。災害のあとは歯みがきもおろそかになりがちで、口の中が汚れると、肺炎の原因になるおそれがあると言われています。食べやすい非常食の選び方は高齢者がいる家庭の在宅避難 食料備蓄の選び方でも紹介しています。

補聴器がないと声が届かない

耳の遠い家族は、補聴器がないと「揺れが収まったら外へ出よう」といった声かけが聞き取りにくくなります。防災無線や近所の方の呼びかけも、届かないかもしれません。聞き取れないことが続くと、本人も不安になり、話の輪から離れてしまいがちです。補聴器は電池や充電で動くため、本体と同じくらい電池の備えが大切になります。

メガネがないと足元が見えない

メガネがないと、床に散らばったガラスや段差が見えず、転ぶ危険が高まります。薬の袋の文字が読めず、飲む薬を取り違えるおそれもあるでしょう。近くを見るための老眼鏡と、遠くを見るためのメガネを分けて使っている方は、両方の備えが要ります。足元の備えは高齢者の避難で見落としがちな靴と足元の備えもあわせてご覧ください。

なくしたときに困ること
  • 入れ歯 非常食が噛めない
  • 入れ歯 口の中が汚れやすい
  • 補聴器 声かけが届かない
  • メガネ 足元の危険が見えない
  • メガネ 薬の文字が読めない

夜に外す道具の置き場所

入れ歯・補聴器・メガネは、寝る前に外すことが多い道具です。洗面所、テレビの横、ベッドの棚など、置き場所がその日によって違うと、夜中に揺れたときに暗い中で探すことになります。揺れで棚から落ちれば、家具の下に入り込んでしまうかもしれません。外した道具は「1つのケース」に入れ、「枕元の決まった場所」に置く。この2つを習慣にするだけで、見失う心配は大きく減らせます。3つの手順で紹介します。

1つのケースにまとめて入れる

入れ歯のケース、補聴器のケース、メガネケースがばらばらだと、どれか一つを置き忘れがちです。ふたの閉まる小さめの箱やポーチを1つ用意し、外した道具をケースごとまとめて入れましょう。入れ歯は乾くと形が変わることがあるため、専用のケースに入れてから箱に収めます。箱に大きな字で名前を書いておくと、家族の誰が見ても分かります。

落ちない場所に置く

ケースを置くのは、枕元の床や、ベッドの横の低い台の上がおすすめです。高い棚や、ふちの浅い台の上は、揺れで落ちて転がりやすくなります。ベッドの柵に袋を下げて、そこへ入れておく方法もあるでしょう。手を伸ばせば届き、暗くても手探りで見つけられる場所を選んでください。

家族も置き場所を知っておく

夜中に揺れたとき、本人が慌てて探せないこともあります。そんなときに家族が代わりに持ち出せるよう、置き場所は家族全員で共有しておきましょう。懐中電灯もケースのそばに置いておくと、停電の暗がりでもすぐに見つけられます。夜中の地震での動き方は真夜中に地震が来たら 高齢者とどう動くか判断する具体的な手順にまとめました。

寝る前に入れ歯と補聴器とメガネを外したら1つのケースにまとめて枕元の決まった場所に置き朝はそこから着けるという置き場所を決める4つの手順を示す図解
寝る前に入れ歯と補聴器とメガネを外したら1つのケースにまとめて枕元の決まった場所に置き朝はそこから着けるという置き場所を決める4つの手順を示す図解

入れ歯・補聴器・メガネの予備

置き場所を決めても、壊れたり、どうしても見つからなかったりすることはあります。お店が再開するまでの間をつなぐために、予備や消耗品を少し持っておくと安心です。どれも高価な物を新しく買いそろえる必要はありません。家にある古い物を捨てずに取っておく、消耗品を少し多めに持つ。それだけで十分な備えになります。道具ごとに見ていきましょう。

メガネは前のメガネを予備に

度が変わって使わなくなったメガネは、捨てずに予備として取っておきましょう。今の度と少し違っていても、何もないよりはずっと見えやすいはずです。メガネケースに入れて、持ち出し袋や枕元のケースの近くに置いておきます。前のメガネがない場合は、次に作り替えるときに、それまでのメガネを予備に回すと決めておくとよいでしょう。

補聴器の電池は型番を確かめて

補聴器の空気電池は、サイズによって4種類あり、シールの色で見分けられます。お使いの補聴器に合う型番を、今使っている電池の包装や説明書で確かめてから、予備を多めに用意しておきましょう。電池はシールをはがすと使い始めになるため、予備はシールを付けたまま保管します。充電式の補聴器なら、充電器とモバイルバッテリーをセットで備えておくと、停電のときにも使えます。

補聴器の空気電池はPR536が黄色PR41が茶色PR48がオレンジPR44が青色のシールで見分けられ予備は型番を確かめてシールを付けたまま保管することを示す図解
補聴器の空気電池はPR536が黄色PR41が茶色PR48がオレンジPR44が青色のシールで見分けられ予備は型番を確かめてシールを付けたまま保管することを示す図解

入れ歯の手入れ用品を少し多めに

入れ歯のケース、洗浄剤、やわらかい歯ブラシを、持ち出し袋にも1組入れておきましょう。断水していると、ふだんどおりに入れ歯を洗うのは難しくなります。少ない水で洗えるよう、口の中をふける使い捨てのシートやガーゼもあると安心です。古い入れ歯が残っている場合は、予備として使えるかどうかを、かかりつけの歯科で一度相談してみてください。

予備としてそろえておく物
  • 前に使っていたメガネ
  • 老眼鏡も1本
  • 型番に合う補聴器の電池
  • 充電式なら充電器と電池
  • 入れ歯ケースと洗浄剤
  • 口の中をふけるシート

よくある質問

入れ歯・補聴器・メガネの備えについて、よく寄せられる疑問をまとめました。道具の扱い方は一人ひとりの体や使っている物によって違うため、迷ったときはかかりつけの歯科やお店に相談するのがいちばん確実です。ここでは、ふだんのうちに知っておくと役立つ考え方を中心に紹介します。気になる項目だけ読んでいただいて構いません。

入れ歯を着けたまま寝てもいいですか

ふだんは外して寝るよう言われている方が多いはずです。着けたまま寝ると、歯ぐきに負担がかかったり、口の中が汚れやすくなったりすることがあります。災害のときの扱いは、入れ歯や歯ぐきの状態によって変わるため、自己判断で決めず、かかりつけの歯科で相談しておくと安心です。

補聴器の電池はどれくらい持ちますか

使う時間や補聴器の種類によって変わりますが、シールをはがしてから数日から2週間ほどで交換になることが多いようです。シールを付けたままなら長く保管できますが、使用期限はあるので、包装に書かれた期限を確かめておきましょう。予備は、少なくとも数週間分あると安心です。

老眼鏡は市販の物でもいいですか

近くの文字を読むための予備として、市販の老眼鏡が役に立つことはあります。ただし、左右で度が違う方や、乱視がある方には合わないこともあります。あくまで一時しのぎと考え、ふだん使うメガネは、眼鏡店で合わせたものを使ってください。

なくしたらどこに相談すればいいですか

まずは、ふだん通っている歯科・眼鏡店・補聴器のお店に連絡してみてください。大きな災害のあとは、避難所や地域で歯科の相談や、メガネ・補聴器の支援が行われることもあります。どのような支援があるかは地域によって違うため、お住まいの市区町村や、担当のケアマネジャーに確認しましょう。

本人が置き場所を変えてしまいます

長年の習慣は、すぐには変わらないものです。無理に決めた場所へ置かせるより、本人がいつも置く場所のそばにケースを置くほうが続きやすいでしょう。ケースの色を目立つものにして、「ここに入れてね」と一緒に入れる習慣を作ると、少しずつ定着していきます。

まとめ

入れ歯・補聴器・メガネは、高齢の家族にとって体の一部のような道具です。なくしてしまうと、食べる・聞く・見るが難しくなり、在宅避難の暮らしがぐっとつらくなります。置き場所を一つに決める、予備を少し持つ。この2つだけで、災害のあとも、いつもに近い暮らしを続けやすくなります。

この記事の振り返り
  • 3つとも暮らしを支える道具
  • 外したら1つのケースへ
  • ケースは枕元の低い場所
  • 置き場所は家族で共有
  • 前のメガネは捨てずに予備
  • 電池は型番を確かめて多めに

今夜は、寝る前に外す道具を1つのケースにまとめて、枕元に置いてみてください。補聴器を使っている家族がいる場合は、あわせて電池の予備が何個あるかを数えておくと安心です。電池は使用期限の長いものを選ぶと、備えとして置いておきやすくなります。

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